海を渡るブラッキー

5分で読める童話

魚が大好きなブラッキー

ちいさな港町みなとまちに、ブラッキーという黒猫くろねこがすんでいました。ブラッキーはさかな大好だいすき。

でも、魚屋さかなやさんのさかなや、漁師りょうしあげさかな勝手かってべられません。人間にんげんつかったら、「こらっ、泥棒猫どろぼうねこ!」とおこられるからです。

たまに、やさしい人間にんげんさかなをわけてくれますが、ぜんぜん満足できないのです。

「ああ!おなか一杯いっぱい さかなべたいなあ!」

そんなある、かもめのポウがおしえてくれました。

うみこうには、おいしいさかながたくさんいるしまがあるんだって!」

ブラッキーはおどろきました。それはすばらしい!

「でも、どうやってけばいいの? ぼくはねこだよ。およげないよ。」

およげないねこも、ちょっとずつ練習れんしゅうすればおよげるようになるかもよ?」

ポウはいたずらっぽく、ウインクしながらいました。

ブラッキー海を泳ぐ

ブラッキーは、毎晩まいばんこっそり浜辺はまべに行っては、あしうみにひたしてみました。

くろれて、からだきます。

なみがこわくて、最初さいしょはちっともすすめませんでした。

でも、つきひかりらされたうみが、ブラッキーをやさしくつつんでくれました。

やがてブラッキーは、いぬかきのようにすこしずつおよげるようになり、なみにもなれてきました。

そしてある満月まんげつよる——。

くよ、ポウ!」

「おお!決心けっしんしたのか!」

ポウはそらからブラッキーを見守みまもります。

なみたかく、しおはやく、ブラッキーは何度なんどながされそうになりました。

でも、あきらめませんでした。ほしひかりうみみちをつくってくれているようにえました。

よるけるころ、ブラッキーはとうとうさかなしまにたどりきました。

そこには、だれもいない浜辺はまべと、きとおったうま、そして、キラキラひか小魚こざかなたちがいっぱい!

ブラッキーはさかなをひとくちべて、にっこりわらいました。

「がんばってよかった。」

その姿すがたてポウはつぶやきました。

「あのうみえるなんて…よくやったな。」

それからブラッキーは、満月まんげつよるになると、さかなしまおよいでいくようになりました。

みなとひとたちはづきました。

「あの黒猫くろねこ最近さいきんなんだかおおきくなって、つやつやしてるね。」

ブラッキーはちょっぴりほこらしげにしっぽをてて、今日きょうもみなとあるきます。

おしまい

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