- 黒助(くろすけ)… 博識な黒猫。浅草事情にも精通。
- しろさん … 黒助と同居するおばさん。おしゃべりすると論点があさっての方向に行きがち。
薄雲太夫伝説のその先へ

この前の薄雲太夫と玉ちゃんのお話、とても良かったわあ。

ニャはは。薄雲太夫の話もすごいけど、実はもうひとつ有力な招き猫のルーツがあるニャ。それが浅草ニャよ。

浅草!やっぱり浅草は猫と縁が深いのねぇ。
最古の招き猫?丸〆猫と今戸焼

そうニャ。少なくとも江戸時代後半には「丸〆(まるしめ)猫」って呼ばれる猫の焼き物が確実に売られていたことがわかってるニャ。歌川広重(安藤広重)さんの「浄るり町繁花の図」(1852年)という浮世絵に描かれているンニャ!

丸〆猫…?なにそれ?

今戸焼(いまどやき)っていう浅草名物の焼き物ニャ。その中に猫の置き物があって、丸い形で、横座りで頭を正面向きにして招くポーズが特徴ニャ。

あら可愛い!その頃から猫ちゃんが人気者だったのね。

今でも浅草の露天などで買うことができるニャ。
こちらが丸〆猫。背面に丸〆印「金銭や福徳を丸く勢〆(せしめ)る」が入っています。

老婆と猫の夢枕伝説

でもさ、浅草にはもっとお話っぽい伝説もあるんでしょう?

あるニャ!
昔、浅草にとっても貧しい老婆がいたんだニャ。生活が苦しすぎて、泣く泣く愛猫を手放したんだニャ…。

そんな!もう泣きそう…。

ところが、その夜、老婆の夢枕に猫が立って言ったんだニャ。

おいらの姿を人形にすれば福が授かるニャ。
今戸焼の招き猫誕生!

…猫がしゃべるの?

猫は時々しゃべるニャ。

…それで老婆はどうしたの?

老婆は言われた通り、猫の姿を今戸焼にして作ったんだニャ。そして浅草神社(三社様)の脇で売り出したら――
たちまち大評判!!
お客さんがわんさか集まったんだニャ。

すごい!!商才のある猫ちゃんだったのねぇ。

浅草説は信ぴょう性が高い!

でもさ、薄雲太夫のお話はちょっとおとぎ話っぽいけど、浅草の方は本当にあったことなの?

そこがミソニャ!
- 今戸焼の招き猫は現物が残ってる
- 江戸時代後半から売られていた記録もある
- 浅草神社でも今戸焼の招き猫を推してる
だから、浅草の伝説は
信ぴょう性がかなり高い
って言われてるニャ。

やっぱり浅草は侮れないわぁ…。
江戸東京博物館にある丸〆猫

黒助、そういえば江戸東京博物館に、今戸焼の猫ちゃんが展示されてるって聞いたのわよ!

ニャニャッ!しろさん、よく知ってるニャ~!あそこには大正~昭和初期に作られた今戸焼の丸〆猫が展示されてるんだニャ。とっても貴重なんだニャよ。

見てみたいわぁ~!写真あるのかしら?

ニャフフ!「江戸東京博物館デジタルアーカイブス」からみられるニャよ。「丸〆猫」で検索してニャ!

この招き猫は、ぽってりした体型と丸い顔が特徴ね。表情も優しくて、まるで笑ってるみたいだわ。

そうニャ!江戸の人々も「幸運を呼ぶ猫」と願って、この招き猫を飾ったんだニャよ。今戸焼が「最古の招き猫」と言われるのも、こうした歴史があるからニャ!
訪れるならここ!

黒助、江戸東京博物館ってどこにあるの?

両国駅からすぐニャ!現在はリニューアル中で休館してる期間もあるから、公式サイトでチェックするのがおすすめニャ~。また再開したら、ぜひ本物の今戸焼の招き猫を見てほしいニャ!
今に繋がる招き猫

じゃあ、いま私たちが見かける招き猫は、豪福寺と吉原と浅草、どれがルーツなのかしら?

ニャ〜、どれも有名だけど、信ぴょう性は浅草説が強いニャ。でもどれも「猫が人を助ける」っていう優しいお話なのは同じニャ。

そっかぁ…。どれも猫ちゃんの恩返しなのねぇ。

そうニャ。だから今も招き猫は、お金だけじゃなく「福」を呼ぶ猫ニャよ。

まとめ:招き猫は人も猫も幸せにするニャ!
- 浅草は今戸焼・丸〆猫(招き猫)の聖地!
- 江戸後期から「丸〆猫」が売られていた記録あり
- 老婆の夢枕伝説も人気の由来
- 豪福寺説も吉原説も浅草説も、猫が人を助けた美談

黒助、今度浅草に招き猫を買いに行きましょうねぇ!
(この後、本当に買いに行きました)

賛成ニャ!…そのついでに浅草名物 舟和の芋羊羹買うニャ。

優しい味が、美味しいのよねえ!
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